遠目で見ると、塗装工事の必要がなさそうな外観ですが、細かく見ていくと色々と気になる部分がありました。
今回の木部はウッドデッキ・濡縁・ハフ・通気口のガラリなど多数にわたります。
弊社の木部塗装は、基本「塗膜除去」からです。どうしても除去できない部分はできる限りの研磨処理での
塗装となります。
2段鼻隠し下部の研磨:研磨テクニックを要する部位ですがうまく塗膜除去できました。
ウッドデッキの塗膜除去:DIY塗装されていて研磨に労力を要しましたが、綺麗に除去できました。
な、なんと「米杉材」が使われていました。
水に強い木材で外壁などにも使用されます。杉(シダー)と呼ばれますが実はヒノキの1種、高級材です。
ビルダー様の意気込みを感じる部分です。
濡れ縁はヒバ材のようです。
こちらもDIY塗装されていて木材のコンディションが良い状態でした。
柱も塗膜除去しました。
塗膜除去が完了した状態
換気ガラリもサンドペーパーで塗膜除去しました。
複雑な形状のため完全塗膜除去はできませんが、木材保護塗料を塗れる状態にはなりました。
キシラデコールを使用しますが、フォレステージとフォレステージHSを調合します。
フォレステージとは低臭形のキシラデコールで、HSとは高耐候・高着色のキシラデコールです。
HSだけでは、木目が潰れてしまうので、フォレステージと調合して木目が浮き出る濃度に調整します。
色はオリーブです。新しい木に塗ったように仕上ます。
さて、外壁の不具合改修に移ります。
北面の外壁の凍害箇所は窯業系外壁を金属系外壁に張り替えます。
このビルダー様の場合、内側と外壁側に貫通穴(通気のため?)があるのですが、凍害部分にはありませんでした。
北面上部の外壁は中に結露し、凍害が出ていました。
この部分はサイディングは新しく張り替えを行い、貫通孔をウレタンフォームで塞いで外側の通気層に温かい空気が入らないように結露を防ぐ対策をしました。
各部の高圧洗浄の様子です。
部位によってノズルや洗浄ガンの距離、水圧が異なります。
高圧水洗浄にも繊細な技術があるのです。
外壁塗装は植物の葉の撥水性にヒントを得た「ビーズコートBIO」を使用しました。
外壁塗装の様子です。
まず透明のシーラー(接着剤の役割)を塗って、仕上塗料を2回塗りしました。
続いて屋根です。
屋根は塗料の劣化で薄くなり、剥がれている部分もあります。
周辺に木が多いこともあって「渋による汚染」が目立ちました。
屋根下地処理
ウッドピース(木目のような模様)の段葺き屋根=段葺きはハゼ起こしできません。
段差の隙間に蓄積した塵や苔を特殊なブラシをつけた機械できれいに掃き出し、表面は目粗しします。
目粗しの目的は汚れの除去と表面に細かい傷がつくことで、塗料の付着力を強くします。
屋根に対して垂直の角度を維持、できるだけガン先を屋根に近づけて高圧水洗浄を行いました。
水圧を生かした効率のよい洗浄です。
屋根塗装
下塗り・・・錆止め:錆反応型2液エポキシ錆止め
細部はハケで丁寧に塗装します。
平場はローラーで適切な厚みに塗装しました。
下塗完了
付着力確認
10㎝幅のガムテープを貼り付け、一気に剥がして塗料の付着力を確認します。
付着力確認の結果:ハガレなし 付着良好を確認しました。
上塗り1回目:2液シリコン樹脂屋根塗料
下塗り同様、細部はハケで、平場はローラーで塗装します。
1回目は塗料の厚み重視で塗装します。
仕上1回目完了
付着力確認
下塗りと同様の方法で塗料の付着力の確認をします。
付着力確認の結果:ハガレなし 付着良好を確認しました。
上塗り2回目
2回目は仕上肌重視で塗装します。
ウッドピース屋根は木目の凹凸があるので3回塗りが基本です。
横葺きですが、雨水が横に走りにくい優れた屋根材です。
カラクサもミニローラーで下塗り、上塗り2回をしました。
今回は、施工前と同じ色での塗装でしたので、遠目からは変化があまり感じられませんが、近くで見た時の印象は全然違います。
外壁の黒ずみやひび割れのないきれいな外壁、木部の美しさが際立った素敵な外観になりました。